枝垂れ枝垂れて

ふらふらして、たまたま辿り着いたのは駒込の『六義園(りくぎえん)』。

小石川後楽園と並ぶ江戸の二代庭園。残念ながら、まだ桜の開花には早いが、園内には桜の木が多くあり、特に庭園入り口にある樹齢70年以上の枝垂れ桜は、テレビ中継が撮影にくるほど見事な姿となる。

夜にはライトアップまで。


『枝垂れる』というのは「垂れ下がる」という意味だけど、ここの桜も、その名前に違わぬ枝垂れっぷりを見せており、枝は添え木によって保たれている。
枝垂れ桜は、他の桜よりも枝の伸びが早く、しかも長く伸びるため、自力で枝を支え切れなくなり、結果として枝が枝垂れたままになって、枝垂れ桜になる。ダラダラと枝を伸ばすだけ伸ばして、もっとしっかり成長していけば良いのに、と思わずにはいられないが、調べてみたら、『ジベレリン』という植物ホルモンの欠如によって枝垂れ桜になるらしく、人間の手でジベレリンを与えれば、普通の桜として成長するそうで。しかも枝垂れ桜は、種から育てても、その全部が枝垂れ桜になるわけではないらしい。ということは一種の奇形なのか。
日光を求めるその姿勢は、非常に貪欲ではあるが、なにせ低いところで枝を伸ばしているので、結果として上へ上へと育つ他の木に負けてしまい、人間の手を借りなくては育つことが出来ない木になってしまった。木なのに。というより、自然界では育たない木を、人間が生き永らえさせているだけかもしれない。
何だか昔話になりそうな、教訓めいた話として通じなくもない。