カフェにて

知らないうちに、近所にカフェが増えている。

長らく続いているカフェブームなので、むしろ遅いくらいか。
いわゆる『カフェ』。個人経営で、そう広くはない店内に、独特な内装。
居酒屋やコンビニ、同じカフェでもチェーン店などは、その画一的な形態から、利用する側に万全な安心感を与えるけど、そのぶん新鮮味や面白味に欠けるのも事実。近頃ポコポコと出来ている個性的なカフェは、まさにその対極にあるといえそう。いわばアイデンティティー補完施設。


コーヒーは好きだけど、畳で育まれた人間なので、あまりオシャレな場所は落ち着かないわね、と思いながら遅いランチに『豚の生姜焼丼』を食べている。豚の生姜焼丼は、個人的にはオシャレな食べ物ではないと思うけど、店内がオシャレだと、何となくオシャレに思えてしまう。場所の影響は大きい。カウンターの端に座った美女の目の前にスーッと滑らせたのが、湯気が立ち昇る豚の生姜焼丼でも、店内がオシャレだったら何とか口説けそうな気がする。その際には、出来れば『ポークジンジャーボール』とでも名乗って頂きたいメロメロ。