オペオペ(オパオパ)

生まれて初めての手術を受けました。背中の腫瘍除去手術。
最初の変換では『主要除去手術』となって、自分の主な部分を根こそぎ除去されたような気がしましたが、主要な部分がそちらで、こちらの僕は末端で出来ていると想像すると、責任とか生活なんていう重い荷物は、そちらに背負わせたような気になり、清々しくもあります。明日から猫を一匹連れて、無人島で暮らそう。いや、そんなに逃避したくなるような毎日じゃないけど。


腫瘍、と書いた覚えもない漢字でアブなさアピールしてますが、見た目はホクロみたい。まぁ普通のホクロとはちゃっと違って、「鮮やかじゃない紫色」ってアレンジが施されてるところがオシャレ。カラーコンタクトとか、熟年オバ様のヘアカラーみたいな類?80年代風?でも、そのアレンジが、ちょっと気になるっていうかー、見えないところのオシャレにしても、ちょっと気になるっていうかー。
そんな感じで気にしつつも、発見時から数年を経てみたら、少しずつ、しかし確実に成長するオシャレだったようで、段々個性が出てきてしまい、オシャレというより、なんかイヤな突起物になりつつある。
ところで僕は、先ほどから「腫瘍」に「オシャレ」をこじつけようと試みているんですけど、どうにもしっくりこないのは、根本的にフィットしないからなのか。「腫瘍」と「オシャレ」。そもそも「オシャレ」ってカタカナ書きしている時点で赤面する。そして生じる赤と紫のコントラスト。表は赤、裏は紫のリバーシブル。全然しっくりこない。


「悪性のオシャレ(腫瘍)だったら・・・」などと考えて、心拍数を上げつつ病院へゴー。医師の診断によれば、「悪性のものじゃないですよ・・・多分」と、さり気なく「多分」を付け足すところが、隙がなくてプロな感じ。
さらに、「ちょっと痛いかもしれませんけど、我慢してくださいね」と言いながら、背中をグニュグニュしていたかと思うと、「ほら、コレです」と取り出されたのは、僕のワンポイント・オシャレ。着脱が可能だったことを、このとき初めて知りました。
「幸い化膿や感染などはしていませんが、再発する可能性もありますので、今日切除していきます?」と軽く聞かれて、手術なんて一度も受けたことがない初心クランケとしては、さらに心拍数が上昇。でも、そんなことで怖気づく僕ではないので、「当たり前じゃん!するする!」と、「ねぇ・・・キスしよっか?」って放課後の誰もいない教室で同じ日直当番の女子に聞かれた童貞ボーイ並みのノリの良さで了承。
手術台に寝そべって、部分麻酔をチクリとされて、「じゃ、切りますね」と切除され、そこまで20分くらい。
手術終了後「切除したモノ、見ます?」と言われて、「当たり前じゃん!見る見る!」と、「ねぇ・・・スカートの中、見たい?」って放課後の誰もいないニワトリ小屋で同じ飼育委員の女子に聞かれた童貞ボーイ並みのノリの良さで了承。久々に長々と書いてたら、何か疲れてきた。
見せられた数センチ角の肉片の、パッと見の印象は「お、結構キレイ」。もっと「肉片でおまっ!」って感じの、ややグロテスクなモノ(方言に対する偏見)を想像していたので意外。まぁ浅い部分の表皮とか脂肪なので、そんなもんか。あとは「じゃ、縫います」と言われて、背中を縫合されて、初体験の手術は終了。


肉片の写真をケータイで撮らなかったことに、若干悔いが残った初バレンタイン手術でした。