050228 カネヤン・ア・ゴーゴーscene2

briki2005-03-29


  登場人物
 ジョー(かねやんさん)クローディア(かねやんさんの奥さん)ロミオ(ヤツ君)
 チャーリィ(茶吉さん)添加物(ガス電池)ポマード(整髪油)



「ん?おぉそうか。チャーリィ、お前さんが邪魔するからだぜ」ジョーが苦笑しながら言った。
「いや悪かったなロミオ。つい昔が懐かしくなっちまってよ」チャーリィも笑いながら答える。
「マってのはだなぁ、イン」説明しようとしたジョーの声は、突然の鳴り響いた銃声にかき消された。窓ガラスが粉々に砕け散っていく。
その場にいた全員が反射的にカウンターの後ろ側へ飛び込んだ。
「おい、みんな怪我はないか?」ジョーの言葉に一同が頷く。
あまりにも突然の出来事だ。状況をつかむのさえ常人では不可能だろう。しかしここにいるのは百戦錬磨のつわものばかりだ。この程度のことで動揺するようなヤツらじゃあない。
実はオレはこの時に3発ほど銃弾を喰らっていたが、かすり傷だと自分に言い聞かせた。血がドロドロ出てる。
「早いな、もう見つかっちまったか・・・」「一体なんなんだジョー」チャーリィがマシンガンの轟音にかき消されないように叫んだ。
「アイツらはポマード組のヤツらだ」「ポマード組だって?ヤツらに一体どんな用があるってんだ?」
「ヤツらはな・・・ここに・・・返事・・・から・・・」「なんだ・・・しか・・・ぇか!・・・スパ・・・」
チッ、マシンガンの音がデカ過ぎてジョーとチャーリィの会話さえ聞き取れやしねぇ。
「・・・しか・・・ダブ・・・半熟・・・」「・・・モハ・・・!ビタミ・・・女優・・・」
いや聞こえないというか、二人ともこそこそ内緒話してるようだ。二人というか、クローディアもロミオも参加して、オレの方をチラチラ見ながらコソコソ話してやがる。
はん!こんな時に余裕なヤツらだぜ、まったく。


ピタッと銃声がおさまった。
「よーう!まだ生きてるかー?」外から声が聞こえてきた。「ポマードだ」ジョーが言った。
「そうか、アイツが!」チャーリィも、さっきのコソコソ話で事態の状況を把握したらしい。オレにはさっぱりだったが、そんな些細なことは気にしねぇ。それが荒野の男ってもんだ。そうだろう?
「生きてるならさっさと出て来やがれ。ちゃんとロミオを連れてきたら、命まではとらねぇから安心しな」
「なにを言ってやがんだアイツは。よしここは俺が!」チャーリィが飛び出ていこうとした。それをジョーが押さえる。
「まあ待て、これはお前には関係のねぇことだ・・・俺が行く」そう言ったかと思うと、制止する間もなくジョーは素早くカウンターの上に飛び乗った。オレは血がダラダラ。


「おージョーよ。久し振りだなぁ。で、ロミオはどこだ?」やけに親しげな口調が余計に憎々しさを感じさせる。
「お前にロミオを渡すわけにはいかねぇよ」ジョーは服についたガラス片などを払い落とす。それが全部オレの頭に落ちて来たのは些細なことだ。
「それよりお前、この店どうし」「ロミオを渡さねぇならやっちまえ!」
ポマードがジョーのセリフにセリフをかぶせてきやがった。その直後に銃弾の雨が飛んで来た。
「おおマイダディ!なぜあなたはマイダディなの?」ロミオが心配してカウンターから外へ飛び出そうとするのを、クローディアが押さえた。
「あんたのマイダディは、これくらいでやられちまうほどヤワじゃないよ。安心して、待ってな」クローディアは笑みさえ浮かべている。完全にジョーを信頼している顔だった。
「それと、あんたにとってはダディでも、アタシにとってはハズバンドだからね」クローディアは、イイこと言った、みたいな得意げな顔をしている。オレは血がドクドク。


「おい添加物、アイツがなんで『ユーズド・ザ・ジョー』って呼ばれてるか知ってるか?」チャーリィが聞いてきた。
オレは知らなかったが、相変わらずマシンガンの標的になっているというのに、チャーリィのその口調は普段と変わらないものだった。オレは血がドバドバ。
「カウンターから頭出して見てみな」そう言うと、もうケリはついたとでも言わんばかりに、チャーリィは煙草をくわえて火をつけ、ゆっくりと吸い、その煙を吐き出してから言った。
「あれが『ユーズド・ザ・ジョー』さ」



  to be continued...