フットサル

手術してから間がないけど、誘われたのでフットサルをした。
目の前にあるサッカーボールには縫い目があるが、僕の背中にも縫い目があるぜ。誰も納得しない仲間ハズレクイズが作れそうなシチュエーション。
何でそんな時にフットサルなんて、と問われれば、僕はサッカーが好きだ、か、ら。ちょっと言葉をウヤムヤにしたくなるのは、「サッカー好き」と「サッカーファン」が、かなりの高確率で混同されがちなように思うからだったりする。


「サッカーが好きです」と言うと、それを聞いた相手から、かなりの高確率で「へー。どこのチームが好きなの?」と聞かれる。「いや特にヒイキにしているチームはないですけど・・・」と答えると、「じゃあ誰のファン?」と食い下がられる。サッカーに限らずスポーツは全般的に、特に野球やサッカーなどの、選手個人まで知名度が高いスポーツは、そんな会話の流れになりがち。僕はサッカーを「すること」自体が好きなのであって、サッカーを「観ること」は、それほど好きなわけじゃない。嫌いではないけど、2時間あれば映画を観たい。
だからサッカーのチームや選手については、そんなに詳しくないのだけど、そこは話を広げようとする相手の顔を立てて、知ってるチームや選手の名前をヌケヌケと言ったりする。一応ニュースでは見ているし、国対抗という形になり、応援すべきチームが分かりやすいワールドカップやオリンピックなどの場合は、むしろ興味津々になる方なので、ある程度の知識はあるし、単語くらいは出てくる。好きなチームは?ブンデス!好きな選手は?ブンデス
でもそうやって適当に口から出たチームや選手が、思いもよらず相手のツボにハマったりすると、「あのチームがドコのチームとやった試合が!」とか「あの選手のあの時のシュートが!」なんて、盛り上がりそうな話題が飛び出して当惑する。度々遭遇するこのような状況は、もはや僕の中ではトラウマに近いレベルに達しており、そんな調子でずっとベラベラ喋られるのは拷問に近い。やってもいない犯罪を自白して、投獄されてしまうかもしれない。無実の罪で刑務所に行くのは避けたいので、「僕はサッカーが好きです!」と声を大にして言いたくない。


ふと思い付いた。こういう事態を避けるには、開きかけた扉を、積極的に、かつそうとは悟られないように閉じてしまえばイイんじゃないか。これからは「いまアツいのはタンザニア・リーグっすね!」なんて答えることにしよう。どうだこれなら広げられまい。・・・あ、でも「タンザニア・リーグって、何チームあるの?」なんていう初歩的な質問が来たら、答えに窮することになりそう。僕はタンザニアのサッカーを知らない。タンザニアのサッカーボールは、あの見覚えあるサッカーボールかどうかも知らないから、もしかしたらピンポン玉を使っているかもしれない。僕の知っているオフサイドの概念も、見事に覆されるかもしれない。キーパーが各チーム10人いたって不思議じゃない。フィールドは常に1対1で、点が入ることの方が歴史的。
何だかワクワクしてきた。だからサッカーって好き。