メガネを求めて1里半・出来事2

briki2005-07-03


「センキュー」と言い残し、軽やかにターンレフトに向かうマイケル。その背中にグッドラック。
一方の僕は、メガネ購入候補ショップその壱に到着。店員さんが寄ってくるわけでもなかったので、勝手にアレコレ試着してみる。が、しっくり来るモノがない。
うーんフレームのわずかな形の違いで、こうも印象が変わるとは。メガネアナドレヌ。
やむなく次のショップその弐へ向かう・・・お?ここは店員が多いな。客は僕を含めて3人。店員は1、2、3・・・9人もいる。比率1:3。
そして客のうち僕以外の2人はメガネ常用者らしく、マイメガネをかけている。ということは、今現在この店内に、メガネなしは僕1人。比率1:いっぱい。


棚にずらっと並べられたメガネを眺めていると、案の定、若い店員さんが「どうぞ試してみて下さい」と寄って来た。
どうやら僕の接客はその店員さんに決まったらしく、僕が移動すると、スススッとそばに寄って来ては、僕が視線を落としていたメガネについてアレコレ説明し始める。他の店員さんが寄ってくることはない。
普段なら、自分の目でじっくり商品を吟味したいところだが、こちとらメガネに関してはまったくの素人。せっかくだから説明を聞きながら選ぶことにした。
「えぇと、視力は悪くないです。ただUVカットがしたいんです」
「なるほど。ではサングラスなどでしょうか?」
「いえ、サングラスだと場所を選ぶじゃないですか」
「ああ、では伊達メガネですね。でしたら、こちらなどは・・・」
と、店員さんが店内のアチコチからメガネを持ってくる。
「こちら○○というブランドの新作でして・・・」
「これは最近流行りの、横が太くなっているタイプでして・・・」
それをいちいちかけて試してみるが、うーむ。どうも苦しゅうなくない。なくなくない。


しかしレンズの説明などを詳しく聞いたりしているうちに、少しずつ店員さんの口調もフレンドリーに。商品もやたら派手なデザインのモノに変わっていった。
そんな感じで5、6本目に持って来たメガネは、ずいぶんと角張った作りだった。もはやあなたの趣味じゃないの?
「ずいぶんレンズが大きいですね」
「ええ、やっぱりレンズが大きい方が、サングラスって感じがするじゃないですか」
あれ?僕、最初にサングラスは否定しましたよね。
うーむ。どうやら僕にはその店員さんの嗜好はあっていないようだ。


この店には、僕が求めるメガネはないらしい。そう悟って次なる目標に移動しようかと思い始めた頃、店員さんが差し出して来たのは形状記憶フレーム。
「これ、かけやすくて外しやすいというフレームなんですけど」
ハイハイ。分かりました。形状記憶ね。形状を記憶するのね。心はもう次のショップに飛んでいる。
「こんな風に片手で簡単に着脱出来て」
うんうん。楽だね。形状を記憶してるもんね。
「こんなふうに曲げても、ほら、元通りなんです」
へぇへぇ。そりゃ形状を記憶してるし・・・って、スゲー曲げてる!
「ほらこんなふうに」
スゲー!90度以上のぐんにゃりだ!金属なのに!
「ほーらほーら」
わー!スゲー!もっと曲げて!もっと曲げて!


うん。また最後の数行だけウソ。