連載1000文字小説

『アーチェリーの貴公子リチャード』その631


  〜前回までのあらすじ〜
アルフォンス家の次男として生まれたリチャードは、その見事なアーチェリーの腕前と優しい性格から、身分に関係なく誰からも慕われ、あるいは蹴られながら、恋人モジャパーと共に幸せな生活を送っていたが、父のコケムシタ3世の死去により、総勢56人の兄弟による壮絶な遺産相続争いに巻き込まれて行く。
長女メガネーアンの調べにより、父の死は長男ワリカンの謀略であることを知ったリチャードは、ワリカンの手下となって暗躍していた21男ムキエビの潜伏場所を突き止め、激闘を演じる。モジャパーを人質にとられたうえ、矢を撃ち尽くし追い込まれたリチャードだったが、2005回連続一本背負いによりワリカンを倒す。
その直後、タイムワープによる父殺害阻止を計画していた5男サビヌキが何者かによって殺され、タイムワープ研究メモを奪われるという事件が発生。数少ない味方を失ったリチャードであったが、自分の身の危険を感じていたサビヌキが、真のタイムワープ研究メモを別の場所に隠しておいたことを日記で知り、角の豆腐屋で押し問答の末、7個のヒントを貰って「オカラクレ」という暗号を言い当て、タイムワープ研究メモを得る。
しかし記号と数字ばかりでワケが分からず苛立ったリチャードは、紙ヒコーキにしてそれを飛ばしてしまう。このことをメガネーアンにこっぴどく叱られたリチャードは、失意の末、森へと迷い込み、そこで武道の達人マッスルさんに出会う。自然の中で己をひたすら鍛え上げるマッスルさんに弟子入りし、パスなしという厳しい七並べをしているうちに、メガネーアンに「バーカ」と言われたことを少しずつ忘れていった。
あまりにも忘れ過ぎて一時期記憶喪失に陥り、マッスルさんのパシリとして日々を過ごすが、リチャードを探しに来たモジャパーが差し出した分度器を見て記憶を取り戻す。父の仇を討たなければならないので森を出ると言うと、最後の手合わせと称した戦いの中で、奥義「超シカト」と「マッスル寝たふり」をリチャードに伝授し、マッスルさんは息絶える。マッスルさんが絶滅したと思い嘆き悲しむリチャードだったが、モジャパーの調べではむしろマッスルさんは過剰繁殖気味で、地域によっては害虫にも指定されていることを知り、安堵したしたリチャードは、森を出て父の仇を討つために、長男ワリカンの元へと急ぐリチャードであったが、そこに14男マッスルさんが現れた・・・。


「兄さんはてっきりム        (その632へつづく)