虫は朽ちてキミに変わる

今回は虫の話です。しかし虫の固有名詞を見ただけで気分を害するほど虫が苦手という方もいらっしゃるかと思うので、最初は伏せ字で書こうかと思ったのですけど、実際に書いてみると余計に想像力を刺激してしまうような気がしたので、いっそのこと全然別の固有名詞で書くことにしました。ご安心を。


我が家の横に、日照権の関係でポッカリ出来た空き地があります。鋪装されているわけでもなく、ただ土があるだけ。で、その日照権発生の元となったビル(空き地の土地の主)にお勤めの方々だと思うのですが、園芸愛好会みたいな集いがありまして、その空き地を利用し、いろいろな植物を育て始めました。おかげで些細なものですが、新宿とは思えない緑の広場が出来上がりました。
ところが数年して、園芸愛好会の面々が解散したのか、その緑の広場にはまったく人の手が入らなくなり、荒れ放題になっていきました。
あれ?虫は?うん、これから。状況説明だけで長いですね。


そんな土地柄にしては緑豊富と言える場所に、それまでは存在し得なかった虫たちの楽園が出来上がったようです。
虫といえば、やはり夏。今年も気温が上がってくるにつれ、パンジー(虫)やタンポポ(虫)やヒマワリ(虫)や、その他名前も分からない様々な虫を見かけるようになりました。
この小さな緑の楽園の中でも、生態系はある程度整備されていると思うのですが、その年によって大量発生する虫の種類が違います。そこにどんな因果があるのか分かりませんが、去年はヒマワリ(虫)で、一昨年はタンポポ(虫)でした。特定の種の虫を多く見かけると、他の虫は明らかに遭遇数が少なくなります。
そう思うと、一番怖いのはあの薔薇(虫)が大量に発生することですが、タンポポ(虫)が獲物にでもしているためか、あまり見かけません。ありがとうタンポポ(虫)。いやキミも決して好きではないけれど。
そして今年はパンジー(虫)が大量に発生。玄関を出たところにパンジー(虫)がいたりして、うっかり踏まないように注意しています。さっき見たら家の前の壁に7匹ものパンジー(虫)が張り付いてました。稀ながら家の中に侵入して来ているパンジーもいます。


そんなパンジー(虫)。生まれてくるパンジー(虫)もいれば、死ぬパンジー(虫)もいます。
パンジー(虫)の死骸には、自然界の掃除屋ヒヤシンス(虫)が群がり、その死骸を片付けていきます。ところがパンジー(虫)の外殻の部分は硬いからなのか、ヒヤシンス(虫)に餌と見なされず、中の部分だけキレイに抉られた形で残されてしまいます。
そして残酷なことに、大量発生しているパンジー(虫)が、パンジー(虫)の死骸を餌としている光景も見られます。しかしこれまた外殻は残されたまま。
「俺の中で生きろ!」的な精神ならまだ救われますが、「俺の中で生き・・・あれ?噛めんわ。この部分いらんわ。この部分以外生きろ」では、餌となった方も救われません。
まあそうこうして残されたパンジー(虫)の外殻を、僕はホウキでサッサと掃き捨てます。その瞬間、僕は自然界の掃除屋の頂点にサッサと君臨しています。


ところで、虫嫌いな方への配慮として固有名詞の差し換えを行いましたが、逆にエグい結果となってます?
(虫)も失敗の要因の1つですね。